坊守のつぶやき 29号
「住職、その話はこの前も聞きましたよ~」「そのテレビのCMが映るたびに、同じことをつぶやいてるね」と、つい言ってしまった。何度も聞かされてる私としてはーまた始まったーと。
そんな話を友人に話したら「うちも‼︎」と激しく同意された。どこにでも転がっている日常だけれど、ジワジワと怖くなります。
“認知症になる平均年齢は、若年性を含むと51歳”とセンセーショナルな見出しのニュースを見つけて、思わずエエッと目が釘付けになってしまった。
最近認知症の新薬が出て、承認されるかどうかがニュースになっていて、なんだか巷が賑やかしい。
歳をとると心配の一つに認知症があります。本人もですが、子供も親の異変を心配してます。
『認知症のシグナル』チェックリストが書いてあったので、チェックしてみますか?
- 昔は密にあった連絡が減った
- おかずが一品減った
- 箸ではなくスプーンで食事をする
- キャッシュレスでの会計が多い
- 昔話など同じ話をするようになる
- 財布や鍵を探すようになる
- 心配で同じことを何度もきいてくる
- 綺麗好きだったのに散らかっている
- クルマの傷が増えている
- 料理の味つけが大きく変わった
- 食への興味や意識が減退している
- 身だしなみを気にしなくなった
- お風呂にあまり入らなくなった
- 感情の起伏が大きくなった
- 人や物を「あれ」と呼ぶことが増えた
歳を重ねるとどれもあるあるで、普通の健忘症でもみられますが、認知症の記憶障害は体験そのものを忘れてしまい、きっかけがあっても思い出せないという点に特徴があるそうです。
お釈迦様が、「人生は苦なり」と仰っています。「人生は苦であると正しく知りなさい」と。
歳をとると、体が自由に動かない、視覚や聴覚も衰える、動作が鈍くなる、物忘れが激しくなるなど辛いことばかり。
でもね、「なんでこんな身になったのか?」と愚痴を言ってもね、事態はいい方向には向いていかないし、悩みが無くなる訳ではなし、不安が消える訳でもない。
やっぱり「なった今を、どう受けとめるか」ということなのかな。
「今日一日がどれほどの苦しみの一日であったとしても、どうにもならないそのことを、生かされて生きてる身なのだから受けとめないと」と、言われても苦しいものは苦しいし、と愚痴が直ぐ出る。
あ~~、生きている間は続くのよね。
『難思の弘誓は難度の海を度する大船』
“阿弥陀仏の誓願(約束)は、苦しみ海に溺れる私たちを乗せて、必ず極楽浄土に渡す大船である”(「教行信証」総序)
大海原という人生に投げ出された私たちは、阿弥陀仏の大悲の大船に乗せていただくまでは、どんなに苦しくても生き抜かねばならない‼︎ってことかーーー
難しいけど、常に今を生き続けていくことが大事。現実を受け止めて生きていく、ってことか!
坊守のつぶやき 目次へ