お彼岸のこころ
人は 彼岸から生まれ
彼岸に帰る 存在である
三月一八日から二四日の一週間春の彼岸会です。多くの門徒さんがお寺にお参りくださいます。こうした仏事は父母、祖父母とさかのぼり、代々伝えられました。
一六〇八年創建の西光寺も四百年以上にわたって伝えられてきたのです。
「彼岸」という言葉は、私たちの生きている世界を「此岸」(この岸)というのに対して「彼の岸」、つまり阿弥陀のさとりの世界である浄土を意味します。彼岸会とは此岸に生きる私たちが、生死という迷いの世界から、浄土のさとりの岸に到ることを願う仏事なのです。悩み苦しみから解放されたいと願わずにはいられない、私たち人間の奥底から生まれてきたと言えます。
浄土真宗では、亡くなられた方を諸仏といただいています。亡き人を偲ぶことを通して、亡き人が身をもって示してくれた、生老病死の身を生きているという事実に立ち返らされます。そして生老病死を受け止めることができず、悩み苦しむ煩悩の身を生きていることを教えられます。だからこそ私たちは亡き人を諸仏と仰ぐのです。親鸞聖人は、諸仏を通して仏陀の教えを念仏―「南無阿弥陀仏」—といただかれ、私たちに伝えてくださっています。
浄土真宗において、お彼岸にお寺やお墓にお参りすることは、諸仏と仰ぐ亡き人からかけられた願いを、身をもって聞く場をいただくことなのです。
西光寺では五月の第三日曜日にお勤めしている「永代経」も、仏陀の教え(お経)を我が身に聞き開き、永きにわたって子孫に伝えていくことが願われています。その聞法の場がお寺であり、家庭の「お内仏」なのです。
彼岸を迎えるにあたり、私どもに先立って歩んでくださった人をとおして念仏の教えに耳を傾けたいものです。
ミニ情報
お釈迦様の亡くなられた日はいつ?
涅槃会(ねはんえ)といって勤められますが2月15日が御命日です。
ではお誕生日は?
降誕会(ごうたんえ)といいますが4月8日です。
お寺では少し早いのですが、春の彼岸中、「花御堂」に誕生仏を安置します。
お釈迦様が生まれた時、成長し迷いの世界を超える教えを明らかにするということで天に九頭の龍が現れ甘露の雨を降らせた、ということから甘茶をかけてお祝いをします。
親鸞聖人は4月1日のお生まれで、本山では毎年4月1日から3日まで「春の法要」が勤まります。
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本山・東本願寺(京都)白書院の藤図